2018 年 18 巻 4 号 p. 4_111-4_126
2016年熊本地震(2016年4月16日01:25,M7.3)では,約900km離れた千葉県北西部で長周期地震動階級2が観測された.関東平野へ入射した長周期地震波は,南北方向の震動が卓越した卓越周期10秒強のLove波が主体であった.入射波形は,山地部では継続時間60秒弱のパケット状であるが,基盤の深い平野部では継続時間が延び振幅も増大した.東京湾西岸付近の観測点では継続時間が約90秒,振幅は山地部の約3倍である.平野東側の観測点ほど後続波が成長し,東京湾北東側の観測点では継続時間が150秒程度に延び,東西成分の震動も励起されていた.一方,基盤の浅い茨城県内の観測点では顕著な後続波は見られない.波形の分散性や伝播方向から考えて,継続時間の延びには,表面波の分散性と回り込みが影響している.なお,平野内の記録の卓越周期は約10秒であり,周期10秒のスペクトル振幅は,震央と反対側の東京湾北東側(千葉県北西部)が最も大きかった.