2020 年 20 巻 1 号 p. 1_194-1_208
本研究は,複数の加速度軌跡の2方向応答スペクトル適合波を入力とし,2方向に独立に挙動する免震層と2方向の非線形応答が連成する免震層の2種類の免震層の免震建物を対象に,2方向地震時挙動の分析を行った.まず,応答スペクトルに適合した2波のランダム位相の模擬波を原波とし,振幅調整による2方向応答スぺクトル適合波の作成法の適用性について検討した.続いて,2方向地震動の方向性を評価する方法として,最大応答方向-固有周期の関係で整理した主軸方向スペクトルや2方向応答スペクトルの全方位表示を考案し,複数の加速度軌跡の2方向応答スペクトル適合波の方向性を評価した.更に,2種類の免震建物を対象に,2方向地震時挙動を評価した結果,独立モデルは2方向入力による影響を受けにくく,非線形応答が連成するモデルでは,2方向入力による影響を受けやすいことが明らかとなった.このことから,シリンダー型のダンパーなどを方向別に配置することは,2方向入力に対する耐震設計上の配慮として,有効な方法であることを示した.