2021 年 21 巻 1 号 p. 1_123-1_134
我が国で頻発する地震災害時において,災害時要配慮者と呼ばれる方々に被害が集中している.現在では,要配慮者の中でも特に避難行動に困難を抱える避難行動要支援者の名簿作成が行われている.しかし名簿への掲載状況や名簿掲載への基準が限定的であること等,様々な課題が存在している.本研究では避難時において困難を要すると考えられる下半身の整形外科系疾患患者を要支援者として広く捉え,国民健康保険データを用いたデータ抽出から町字単位の地域存在量の把握を行った.また,GISによるネットワーク解析を用い,最寄りの避難所までの距離の代理指標を町字単位で作成した.以上の分析より,羽咋市内に存在する整形外科疾患患者が地震災害時において強いられる可能性のある避難所までの距離を町字単位で評価することが実現した.本研究を通して羽咋市における整形外科系疾患患者,避難所までの距離の2つの観点から地域差を明らかにすることが可能となった.