2022 年 22 巻 4 号 p. 4_39-4_55
中低層鉄骨構造を対象に,エネルギーの釣合いに基づき地震後の簡易被災度判定法を提案し,その実用性の見通しを得た.前震,本震および余震を考慮した総エネルギー入力は,累積エネルギースペクトルを用いて算定した.設計用地震動を入力とした時刻歴応答解析の結果と本判定法の結果を比較した.階数,地震動の違いに大きな影響を受けず,両者は概ね整合した.熊本地震の観測波形を用いて,地震の発生順序および位相の違いによる適用性を検討した.本判定法は,地震の発生順序に従う被災度の進展を追跡できた.