日本地震工学会論文集
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都市計画基礎調査データを用いた木造住宅の地震被害推定に関する研究
横屋 翔林 和宏齊藤 大樹
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2023 年 23 巻 4 号 p. 4_1-4_23

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抄録

本論では,都市計画基礎調査を用いて市町村規模での木造住宅の地震被害推定を行うことを目的に,過去の地震の被害状況から算定された既往の被害率関数による地域メッシュ単位の被害推定の精度向上と,個々の木造住宅を対象とした損傷確率曲線による損傷評価手法について検討した.前者は,豊橋市を対象に,住宅・土地統計調査から求めた年代別平均木造住宅割合を市内すべての地域メッシュに適用した場合と,都市計画基礎調査による都市に実在する建物の分布状況を個別に反映した年代別木造住宅分布を適用した場合で,それぞれ南海トラフ地震の想定地震動に対する既往の被害率関数を地域メッシュ単位で適用することで被害推定を行い,その結果を比較することで検討した.後者は,防災科学技術研究所の強震観測網K-NET, KiK-netで観測された強震波を入力とした漸増動的解析(IDA)により,個別の木造住宅を対象とした損傷確率曲線を算定し,木造住宅個別の損傷確率推定を行った.都市計画基礎調査を使い,実建物の分布状況を個別に反映した被害推定は,市内全体を平均した年代別建物割合による被害推定に比べ,推定精度が高いことを明らかにした.また,南海トラフ地震に対する木造住宅ごとの損傷確率評価により,同一地域メッシュ内であっても被害に差があることを明らかにした.

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