2024 年 24 巻 5 号 p. 5_108-5_118
地震動の面的分布は,その地震の特徴を表す指標のひとつであるとともに,地震災害の初動対応においても重要な情報となる.地震計による観測は点の情報なので,地震動の面的な分布を推定するには観測点のない地点を補間する必要がある.本研究では,地震波エネルギー伝播のシミュレーションと最適内挿法によるシミュレーション結果の補正を組み合わせた面的地震動分布の事後推定手法を提案する.提案手法によって,点のデータである観測値を波動伝播の物理に従って観測値の存在しない地点に投影することが可能となる.提案手法を2016年熊本地震に適用したところ,布田川・日奈久断層に沿った強い揺れの分布が明瞭となった.また,震央周辺の観測点の欠測を模擬した試験を実施したところ,提案手法によって震央周辺の地震動分布をある程度再現できることに成功した.