2024 年 24 巻 5 号 p. 5_98-5_107
静的締固め砂杭工法は,静的な圧入力により砂杭を低騒音・低振動で造成して地盤を締固めて液状化抵抗を増加させる工法である.本報では杭基礎建物での実施例に基づき施工条件や設計上の判断により改良範囲が建物下全面とせず改良範囲を狭めたことが杭の発生応力に及ぼす影響について,地盤や杭材の非線形性を考慮したはり-ばねモデルを用いた静的増分解析により検討した.解析は地震応答解析により地盤変位や杭頭水平力を求めた上で,建築物の形状・杭配置と静的締固め砂杭工法の施工範囲の位置関係をパラメータとして実施した.これらの解析結果から,改良範囲を小さくすると負担水平力が改良部に集中するために杭のせん断耐力の確保に注意が必要となるが,曲げモーメントへの影響は比較的小さく,非改良部の負担は全面改良の場合よりも軽減する傾向を確認した.