2024 年 24 巻 5 号 p. 5_162-5_175
港湾施設の耐震設計ではサイト増幅特性を考慮した時刻歴波形を設計入力地震動として用いる.港湾におけるサイト増幅特性の評価方法の一つである臨時の地震観測に基づく評価方法では,スペクトルインバージョンで精度高く評価されている強震観測点のサイト増幅特性を基にして,それに2地点間(①強震観測点,②新たにサイト増幅特性を評価したい対象地点(臨時の地震観測点))のフーリエ振幅スペクトル比の幾何平均を乗じることで対象地点のサイト増幅特性を評価する.①スペクトルインバージョン,②臨時の地震観測に基づく評価方法ともに,複数の地震観測記録を用いて行われ,周波数毎に平均的な値として,1つの値でサイト増幅特性が設定されるが,個々の地震記録はばらつきを有している.本研究では,スペクトルインバージョンのばらつき(回帰の残差のばらつき)と,臨時の地震観測記録を用いた評価方法での2地点間のフーリエ振幅スペクトル比のばらつきを評価した.そのばらつきの評価は,臨時の地震観測記録を用いるサイト増幅特性の評価方法でサイト増幅特性が評価されている全国の10港湾のレベル1地震動を対象に実施した.更に,そのばらつきの考慮が港湾施設への影響を確認する目的で,港湾の既存のレベル1地震動を基にして,そのばらつきを加味した地震動(加速度時刻歴波形)を作成した上で,地震動から計算される速度PSI値と,桟橋の照査用震度に与える影響を確認した.