本研究では,2016年熊本地震及び2022年福島県沖の地震において実施された企業の被災状況に関するアンケート調査データを利用し,「機械・設備の固定」や「建物の耐震補強」対策が被災直後の操業能力に与えた効果を計測する.対策効果の計測にあたっては,マッチングや層化により対策済群(処置群)と未対策群(対照群)の共変量を調整した計測用データセットを作成した上で,機能的フラジリティカーブから得られる処置群と対照群の操業能力水準の生起確率の差を対策効果とした.その結果,「機械・設備の固定」対策では「製造業」「サービス(事業所訪問型)」で効果が高く,震度6強相当で操業能力を喪失する確率は約4.9~12.9 %減少する結果が得られた.また,「建物の耐震補強」対策では地震動が大きくなると対策効果が発現され,その効果も大きくなる傾向が見られた.本研究結果は,対策の実施が初期操業能力に与える影響を定量的に評価したものであり,対策効果を反映した経済被害推計,地震リスクマネジメントやリスクファイナンスへの適用が期待される.