2025 年 25 巻 6 号 p. 6_74-6_85
建物の地震応答データによって描かれる復元力-層間変形角関係曲線(履歴ループ)は,建物の健全度合いによって形状が変化する.本研究では構造ヘルスモニタリングにこの性質を活用し,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて履歴ループ画像をもとに将来の地震動による倒壊の危険性を判別する方法を提案した.提案手法において座標軸の範囲や解像度の設定を検討し,各ケースにおける正解率及び危険モデルの再現率を比較した.入力地震波の最大入力加速度の下限値を設定し,これを調節することで危険モデルの再現率を90%程度とすることができた.よってこの最大入力加速度の下限値はCNNによる損傷判別において影響力のあるパラメータの一つであるということができる.