地震発生の際,鉄道では必要に応じて素早く列車を停止し,沿線に設置した地震計の観測値に基づき施設の点検などが実施される.この際,地震計による離散的な観測データの他に沿線の連続的な地震動を推定により詳細に把握すれば,点検区間の適正化などが可能となる.推定データには推定誤差が含まれるが,推定誤差の扱いが定まっていないことから,推定データの実務使用は十分には進んでいない.これを受け,岩田ら(2023)は,実務における推定誤差の扱いの考え方を示した上で,観測データと推定データを融合した鉄道沿線の地震動推定手法を提案した.この手法では,観測値を適用する観測点からの距離を一律としている.しかし,観測値を適用する距離は,観測点周辺の地盤特性変化の程度に応じて個別に設定することが望ましい.本研究では,公的機関による面的な表層地盤の地震動増幅特性を用いて,観測点周辺におけるその変化の程度を定量的に評価し,観測値を適用する距離の考え方を提案する.さらに,鉄道事業者の観測データの導入を想定した,提案手法による鉄道沿線地震動の推定事例を仮想の鉄道路線に対して示す.