2025 年 25 巻 9 号 p. 9_28-9_41
本研究は,インフラ構造物に対する持続可能性として,供用期間中の補強がどのような特性を示すか考察を行った.対象構造物はRC橋脚とし,経年劣化過程は二酸化炭素,水,塩素,温度等の劣化要因により鉄筋の腐食が進行する過程とし,コンクリートの中性化などの影響を鉄筋腐食速度で単純化することにより評価した.そして,供用期間途中でアップグレード補強マニュアルに従った補強を施した場合,補強効果がどのような特性を示すかについて検討し,降伏強度残存率に従属する降伏震度,塑性率,損傷指標及び必要降伏強度スペクトルにより特性を抽出した.さらに,経年劣化の補強履歴と耐久性能は必要降伏強度スペクトル上に耐震性能のスペクトルを併せて表示することにより把握した.結果として,経年劣化するRC橋脚に補強がなされた場合,耐震性能から判断した耐久性能の回復を十分期待できることが示された.