抄録
本研究では、経年変化が清水寺本堂の耐震性能にどのような影響を与えるか検討を行った。劣化が起こりやすく、清水寺本堂の耐震性能に大きな影響を与えることが予想される柱脚部と柱貫接合部に劣化を仮定し、耐震性能評価を行った。また、清水寺本堂の主要構造部材はケヤキであるが、ケヤキは構造材となってから年が経つにつれて材自体の強度が低下するという研究報告がある。この経年による材自体の強度低下を考慮した耐震性能評価も行った。
荷重増分解析の結果、経年変化を考慮することで清水寺本堂の保有水平耐力が低下した。特に、柱貫接合部の劣化が激しいと仮定した場合においては、保有水平耐力は健全時の70%程度になり危険であることがわかった。非線形地震応答解析の結果、柱脚部より柱貫接合部の劣化の方が清水寺本堂の耐震性能に与える影響は大きいことがわかった。さらに、懸造部の柱貫接合部の劣化が本堂部の耐震性能に与える影響は小さいことがわかった。清水寺本堂は建立されてから約400 年経過しており、このことからケヤキのヤング係数を低下させて非線形地震応答解析を行った結果、応答変位の最大値が大きくなったが倒壊に至るほどではなかった。