経済地理学年報
Online ISSN : 2424-1636
Print ISSN : 0004-5683
ISSN-L : 0004-5683
大会報告論文
地方創生関連政策の策定過程と政策評価に関する覚書き
松原 宏
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 62 巻 4 号 p. 346-359

詳細
抄録

    2014年9月に「まち・ひと・しごと創生本部」が設けられて以降,地方創生関連の新たな施策が次々に打ち出されてきた.本稿の目的は,そうした政策策定の経緯を明らかにするとともに,地方創生交付金や政府関係機関の移転などの政策を取り上げ,政策内容の特徴と今後の課題を検討することにある.
    リーサスを活用し先駆的な事業計画を提案した地方自治体に対して,優先的に地方創生交付金が配分されることになったが,グローバル化と人口減少の下で,地域経済の自立化と国際競争力の強化が,重視されてきている.東京一極集中の是正に関しては,民間企業や国の研究機能の地方移転により,現地の大学や試験研究機関との連携が強まることで,新たな産業や雇用の創出につながることが期待される.
    2014年10月には「基本政策検討チーム」が設けられていたが,過去の政策や海外の政策を十分に検証する時間的な余裕がなく,また省庁の連携も十分ではなかった.今後は,地方創生を一過性のブームに終わらせず,地域政策として高めるとともに,体系的に再構築していくことが求められる.

著者関連情報
© 2016 経済地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top