経済地理学年報
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大会報告論文
戦後の仙台の都市機能・拠点性の変遷
千葉 昭彦
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2018 年 64 巻 4 号 p. 273-290

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抄録

    都市・地域が果たしている役割は,時代とともに変化する.本研究では,地方中枢都市の中でも特に戦後の仙台に焦点を当ててその変化を概観することを目的としている.
    仙台の支店経済としての特徴の始まりは第二次世界大戦中と言われている.これは軍事施設等が集積したことによって人口が増加し,企業の営業拠点として位置づけられるようになったことによるものである.これは戦後しばらく続くが,その後の高度経済成長期には,企業間の販売競争が激化し,その営業活動が全国各地に拡大し,テリトリー制が確立する中で,地方中枢都市の支店には各地の営業活動を統括する機能が付与されるようになった.ただ,地方中枢都市の支店のこの役割はバブル経済後に変化してきている.すなわち,長期不況の中で,情報化の進展やグローバル化,脱大量生産体制などの変化を通じて企業組織が変化し,地方中枢都市の支店の役割も変化している.
    他方では,この間に整備された交通体系を背景に,地方中枢都市などでの集客力が高まっている.1980年代には大規模小売店舗の全国的な展開と相まって仙台での小売業の集客範囲が拡大してきた.ただ,この変化も2000年代にはいるとネットショッピングなどの浸透などによって変化しつつある.小売業での広域中心性がなくなったわけではないが,サービスに対する需要の役割が大きくなっているように見られる.その中でも特徴的なのがイベントやプロスポーツ,コンベンションなどである.これらへの観戦,参加はサービスの消費であり,物品販売と基本的には変わらない消費者行動ととらえることができる.けれども,ここではそのイベント等の企画・運営などへの参加もみられ,それは増加しているように思われる.
    いくつかの事項に関してはさらなる調査検討が必要ではあるが,地方中枢都市の中心性はこのように時代とともに変化している.とは言え,その中心性・拠点性は以前のものが新しいものに入れ替わったというよりも重層化しているということのほうが妥当であるように思われる.

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