抄録
国際教員調査 TALIS2018 の日本データから、現職の小中学校の教師たちの教職後悔と教師になった動機の実態を示すとともに、両者の関連を分析した。その結果、主に三点の知見が得られた。第一に、小学校教師で27.9%、中学校教師で 31.8%が、直接的または間接的に教職を後悔していた。第二に、教師になった動機は生活安定動機と社会貢献動機が同程度に高かったが、中学校教師は小学校教師と比べて生活安定動機が低かった。また、両動機の間には正の相関があり、トレードオフではなかった。第三に、生活安定動機が高かった者は教職を後悔している者が多く、社会貢献動機が高かった者は後悔している者が少なかった。ただし、小学校の女性教師では、社会貢献動機が高かったとしても後悔が減じるわけではなかった。以上の知見から、生活安定動機が教職後悔につながっている背後にある構造を変革することで、生活安定動機がある者が安心して教職を選べるようにすることを提言した。