2007 年 27 巻 1 号 p. 95-97
症例1 : 86歳男性。腹部CTで腹水, Whirl signを認め発症後6時間で緊急開腹術を施行した。小腸が時計回りに360度捻転していたが整復のみで手術を終了した。症例2 : 69歳男性。腹部CTで腹水, Whirl signを認め発症後20時間で緊急開腹術を施行した。小腸が時計回りに180度捻転していたが整復のみで手術を終了した。症例3 : 82歳女性。腹膜刺激症状と腹部CTで腹水, Whirl signを認め発症後13時間で緊急開腹術を施行した。小腸が時計回りに360度捻転し回腸全体が壊死状態であったため小腸および回盲部切除を行った。3例とも器質的異常を認めず原発性小腸軸捻転症と診断した。腹部所見, 血液検査に特徴的所見はなく, 腹部CTでのWhirl signが自験例に共通の特徴的所見であった。腸管壊死をきたす可能性は, 発症から手術までの時間や捻転度に必ずしも比例せず, 血管の緊縛度や血管自体の動脈硬化の程度などが関与してくるものと考えられた。