日本腹部救急医学会雑誌
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原著
患者年齢からみた虫垂炎手術症例の臨床的検討
久保 直樹竹内 信道中山 中荻原 裕明辻本 和雄伊藤 憲雄
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2012 年 32 巻 4 号 p. 731-736

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抄録

虫垂炎手術症例について年代ごとの診断や治療の違いをあきらかにするため小児(15歳以下),成人(16歳以上70歳未満),高齢者(70歳以上)の各年代において検討を行った。2005年1月から2009年12月までの間に急性虫垂炎に対し手術を施行した224例を対象とした。初診医の虫垂炎の診断率は小児:成人:高齢者で46%:69.3%:54.8%であった。発症から手術までの病悩期間が2日未満の割合は小児:成人:高齢者で68%:60.1%:48.4%で,組織学的に壊疽性虫垂炎と診断された割合は高齢者が71%と一番高く,術後合併症が発生した頻度も高齢者が32.3%と小児,成人と比較し有意に高かった。小児においては初診医の正診率が低いが,術前病悩期間は短く,術後合併症を生じる患者の割合は低かった。高齢者では術前病悩期間が長く,術後合併症の頻度が高かった。高齢者では病状が進んでから受診する傾向があり,来院時の虫垂炎が重症であることが多い原因であると考えられた。

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© 2012 日本腹部救急医学会
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