抄録
平成10年から22年までの間に当院で診断された閉鎖孔ヘルニア11症例を対象とし,retrospectiveに検討した。11例全例が女性で年齢の中央値が82歳,BMIの中央値が14.8,開腹歴のない女性が55%,経産婦が91%であった。イレウス様症状を呈したものが82%で,Howship-Romberg徴候は64%で陽性であった。また,大腿部痛を主訴としたものが3例(27%)あり,これら症例では短期間での診断が可能であった。術前診断できたのは73%で,全例がCTを診断根拠としていた。18%は術中所見で診断されたが,1例は診断できず,敗血症性ショックで死亡。10例で手術が施行され,うち6例で小腸切除が施行されていた。閉鎖孔ヘルニアは特異的な所見に乏しく,診断が遅れやすい半面,致死率も高い疾患である。高齢,痩身で開腹歴のない女性がイレウス様症状や大腿部痛を呈した場合は本症も念頭におき,早期診断・早期治療が求められる。