抄録
本邦では米国と同様に,外傷手術の減少や若手外科医の減少が問題となっている。当院救命救急センターでは救急外科医が,すべての重症腹部救急外科疾患に対する初療,緊急手術,集中治療を一貫して行ってきた。過去10年間で,来院時心肺停止,急性虫垂炎を除いた症例数は,腹部外傷570例(鈍的外傷476例,鋭的外傷94例),非外傷性腹部救急疾患673例(穿孔性腹膜炎,腸管虚血,イレウス,大動脈瘤破裂など)であった。4臓器以上の多臓器不全58例の在院死亡率は48%で,欧米の成績を凌駕する結果であった。過去5年間で当施設へ転院となった救急外科疾患の問題症例30例中7例が死亡した。ほとんどの患者は外科医が診療しており,不適切な初期診療や治療方針,診断遅延,集中治療不得手という問題があった。救急医としてのAcute Care Surgeonは,重症救急外科疾患の救命率の向上に貢献し,外科医や救急医への教育という役割を担っているため,その育成は極めて重要である。