抄録
Surviving Sepsis Campaign Guidelines 2012には,敗血症に合併するDIC (Disseminated Intravascular Coagulation) 治療に関しての記載はない。 期しくも同年に公開された日本版敗血症診療ガイドラインでは,そのような敗血症治療が盛り込まれている。欧米,とくに米国では,敗血症に合併する凝固障害への対応は,原病への治療のみである。一方,本邦の多くの施設では,敗血症に凝固障害が合併すると多臓器不全率や死亡率が高まるとし,原病への治療とDIC治療を行う。本邦では,その治療薬としてAT(anti-thrombin)製剤とrh-TM(recombinant human thrombomodulin)製剤が主なものである。AT製剤の多施設前向きの試験で,ヘパリン併用例で出血が悪化し敗血症の生命予後は改善できなかった。しかし,その後のsubgroup解析では,AT製剤の投与が予後を改善することが報告されており,当ガイドラインでは,AT製剤は,敗血症性DICに対して,弱い推奨としている。rh-TMに関しては,DIC合併の敗血症で,DIC離脱率がヘパリンより良好であること,またその後も臨床で追試が行われ,比較的良好な結果が得られており,AT製剤と同等の弱い推薦とした。最近の報告で,重症敗血症の生命予後が日本では,他国に比し良好であった。その報告では各治療の関連は検討していないが,重症敗血症にDICが合併した際の対応として,本邦では原病の治療および抗凝固療法の施行が一般的であり,同病態における抗凝固療法の役割についてさらなる検討が必要である。