抄録
症例は66歳,男性。 5ヵ月前に下部胆管癌とS状結腸癌との重複癌に対し,膵頭十二指腸切除およびS状結腸切除術を施行した。ショックを伴う吐下血で救急外来を受診し,腹部造影CTと上下部内視鏡検査施行するも出血源を特定できず,経過観察目的に入院となった。第1病日に下血を認め,上部内視鏡検査で左胆管からの出血を認めた。緊急腹部血管造影を施行したが,出血源を特定できなかった。上部内視鏡検査所見より,左肝動脈からの微小出血と判断し,ジェルパート®にて左肝動脈塞栓術を施行した。第5病日に再度下血あり,外側区域への分枝からの再出血を認め,マイクロコイルで左肝動脈塞栓術を施行した。発熱が遷延し,腹部造影CTで左肝膿瘍を認めたため,左肝膿瘍に対し肝左葉切除術を施行し根治し得た。胆道再建を伴う術後の肝動脈瘤に対する塞栓術後は,肝膿瘍発症を考慮した注意深い観察と治療が必要である。