2016 年 36 巻 4 号 p. 757-760
誤飲された異物は,幽門輪を通過すれば,通常は自然排泄されるとされる。今回われわれは,合成樹脂製の形状記憶能を持つボールを誤飲し,小腸閉塞をきたした症例を経験したので報告する。77歳,女性。既往に認知症。嘔吐を主訴に当院に救急搬送された。緊急上部消化管内視鏡で,十二指腸水平脚に異物を確認できたが,摘出困難であった。経過観察の3日後に腸閉塞症状増悪し手術を施行した。手術所見では,空腸に嵌頓した異物が触知され,腸管を小切開し摘出した。術後は問題なく軽快退院した。本玩具のような柔軟性のある合成樹脂は,性質上粘着性も高く小腸内で停滞することもあり,緊急手術を念頭に置いた慎重な観察が必要であると思われた。また,高齢化社会における認知症患者の増加から,異物誤飲は,高齢者においても問題であり,今後注意が必要と思われた。