2019 年 39 巻 4 号 p. 699-702
症例は86歳女性。夜間に突然の腹痛を認め当院を救急受診した。来院時,体温は37.7℃で右下腹部に圧痛を認め,急性虫垂炎を疑い検査を行った。CT検査では盲腸から上行結腸が便残渣によって拡張していたが,虫垂の腫大や壁肥厚は認めず,虫垂内腔にガス像を認めた。このため,急性虫垂炎は否定的で,糞便性腸閉塞の診断で入院加療を行った。第3病日になっても症状は軽快しなかったため,再度CT検査を行ったところ虫垂の腫大と壁肥厚を認め,蜂窩織炎性虫垂炎と診断し虫垂切除術を施行した。術中所見では混濁した腹水を認め,虫垂壁の壊疽所見は認めなかったが,虫垂の遠位端に穿孔を認めた。切除標本の病理検査結果では,炎症の程度は蜂窩織炎性虫垂炎で,穿孔部は虫垂憩室の穿孔であった。虫垂憩室症は特異な臨床経過をたどることがしばしばあり,急性腹症の診療時には念頭に置くべき疾患と考えた。