2019 年 39 巻 4 号 p. 765-768
症例は13歳女児。自転車運転中に転倒しハンドルで上腹部を強打。翌日上腹部痛が出現し,当院搬送。採血で血清アミラーゼ値の上昇を認め,腹部造影CTで上腸間膜静脈上での膵断裂像と周囲液体貯留を認め外傷性膵損傷と診断。主膵管損傷評価目的にERCPを試みたがVater乳頭に到達できず断念。MRCPでも評価不能であった。日本外傷学会膵損傷分類Ⅲa or Ⅲb型と診断した。治療は,腹腔鏡下手術か保存的治療かの選択で,バイタルサインが安定しており,腹部症状も軽度であったため絶食・安静・輸液と蛋白分解酵素阻害剤の投与による保存的治療を選択した。経過中に理学所見・血液検査・CT所見の増悪を認めず,受傷後8日目より経口摂取開始。その後も順調に経過し23日目に独歩退院した。外来でのCTで損傷部の縮小を認めた。小児の膵単独外傷においては,全身状態や画像所見を考慮しつつ,保存的治療も選択肢の1つとなり得ると考えられた。