2019 年 39 巻 4 号 p. 777-780
症例は84歳,男性。発熱,心窩部痛を主訴に当科を受診。腹部造影CTで肝左葉に壁肥厚を伴う囊胞性病変を認め,感染性肝囊胞(infected liver cyst:以下,ILC)と診断した。同日,経皮経肝膿瘍ドレナージ(percutaneous transhepatic abscess drainage:以下,PTAD)を施行した。ドレナージにより炎症反応の改善後,第10病日にチューブを抜去し退院となった。その5ヵ月後に腹痛を認め,CTでILCの再燃が確認された。再びPTADを施行した。ドレナージで排膿後,ミノサイクリンを膿瘍腔に注入し改善した。チューブは患者の希望でクランプ,留置のまま退院となった。その2ヵ月後にチューブ刺入部周囲より膿の流出を訴え来院し,再燃と判断した。チューブを開放し排膿し,3日後に2日間隔で計3回エタノール注入療法を施行した。経過良好で第7病日にチューブを抜去し退院となった。その9ヵ月後の現在,再発を認めない。胆管交通がない繰り返すILCに対してエタノール注入療法は有効な治療選択肢の1つであると思われた。