日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
原発性腹直筋膿瘍の1例
篠原 翔一俵藤 正信太田 学林 浩史佐藤 寛丈塚原 宗俊安田 是和
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2019 年 39 巻 5 号 p. 863-866

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抄録

腹直筋膿瘍は手術創感染や腹腔内感染などによる続発性が多く,原発性はまれである。今回健常な若年男性に発症したまれな原発性腹直筋膿瘍の1例を経験したので報告する。症例はインドネシア人の20歳男性。発熱,左下腹部痛を主訴に前医受診。炎症反応高値と腹部CT上左腹直筋内に低吸収腫瘤があり,当院紹介となった。手術や外傷,易感染性疾患の既往なし。腹部超音波検査で20mm大の低エコー腫瘤を認め,腹直筋膿瘍と判断し局所麻酔下に切開排膿ドレナージを施行した。経口抗菌薬投与で経過観察するも膿瘍腔の増大を認め,2日後に全身麻酔下に切開排膿ドレナージを施行した。腹腔内感染は認めず培養結果はStaphylococcus aureusであった。経過良好で術後5日目に軽快退院となった。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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