2020 年 40 巻 4 号 p. 559-562
89歳女性。心窩部痛と嘔吐を3日前から認め,腸閉塞疑いで当院紹介となる。CTで縦隔内に横行結腸の脱出を認め,Morgagni孔ヘルニア内に脱出した横行結腸と診断した。X線透視下での下部消化管内視鏡で横行結腸を整復した後に,待機的腹腔鏡下Morgagni–Larrey孔ヘルニア修復術を施行した。胸骨背側の左右にそれぞれヘルニア囊が認められ,右側のヘルニア囊に横行結腸と大網が嵌入していた。ヘルニア囊は切除せず,SymbotexTM Composite Mesh(コヴィディエン社)を用いてメッシュの固定にはヘルニアステープラーに腹壁外結紮法を併用した。併存症や全身状態から緊急手術はリスクが高いと判断し,内視鏡下整復後に待機的手術を施行し,良好な経過が得られた。本疾患に内視鏡下整復後に待機的手術を施行した報告例は少なく,待機的腹腔鏡下修復術は低侵襲で,超高齢者においても安全かつ簡便に施行可能と考えられた。