日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹部コンパートメント症候群を併発し広範囲腸管壊死をきたした大腸癌腸閉塞の1例
大原 泰宏宮田 秀平守 麻理子小川 博史大谷 義孝根本 学
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2020 年 40 巻 6 号 p. 747-750

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抄録

症例は80歳男性。腹痛,嘔吐を主訴に前医を受診し腸閉塞の診断で入院となった。入院翌日に腹部膨満,意識状態が悪化。血圧低下もきたし敗血症性ショック疑いで当院転院搬送となった。検査の結果,大腸癌腸閉塞による腸管壊死,敗血症性ショック,腹部コンパートメント症候群(abdominal compartment syndrome:以下,ACS)を疑い緊急開腹手術を行うこととした。開腹すると拡張した腸管があふれ出てきた。S状結腸に腫瘍があり,それより口側の全結腸と小腸の広範囲壊死所見あり。ダメージコントロールの概念から壊死腸管切除のみを優先し全身状態安定させてからの計画的二期的手術で救命した。大腸閉塞に閉塞性大腸炎とACSを併発し広範囲腸管壊死をきたした症例報告は自験例と合わせ2例のみと極めてまれである。急速に全身状態が悪化する腸閉塞症例ではACSが関与している可能性があり,タイミングを逸することなく減圧することが重要である。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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