2021 年 41 巻 6 号 p. 461-464
症例は21歳,女性。1ヵ月前より下腹部膨隆を自覚し近医を受診したが改善せず,来院当日朝から下腹部に強い腹痛が出現し当院救急外来を受診。腹部骨盤CTで屈曲した膵尾部に隣接した遊走脾を認めた。脾の右側は造影不良で虚血が疑われ,脾尾側には14cm大の囊胞を認めた。脾囊胞を伴う遊走脾捻転と診断し待機的に手術を施行した。下腹部正中を小開腹し囊胞内容液を吸引し,グローブ法で気腹しポートを2本追加した。脾は周囲靭帯との固定がなく時計回りに180度捻転していた。鉗子で捻転解除を試みたが巨脾のため困難であったので,右季肋下切開からhand assisted laparoscopic surgery(HALS)により捻転解除,脾摘を行った。遊走脾は脾腫などの重力負荷が加わると捻転しやすくなるが,遊走脾に併存した脾囊胞が原因で脾捻転することはまれであり文献的考察を加えて報告する。