2022 年 42 巻 1 号 p. 51-55
症例は40 歳台,女性。血便を主訴に当科を受診した。直腸診で鮮血便の付着を認めた。造影CT 検査では盲腸,上行結腸から直腸にかけて連続性に液体貯留を認めた以外に著変はなかった。大腸憩室出血の可能性が高いと診断し,同日洗腸後に内視鏡検査を施行したところ,盲腸,上行結腸に大量の鮮紅色の血液貯留を認めた。再度,造影CT 検査を読影し直し,虫垂遠位側に造影剤の血管外漏出像を認めた。盲腸を中心に洗浄していたところ,虫垂開口部から湧出性出血を認めたため虫垂出血と診断した。虫垂開口部をクリッピングで縫縮し,一時止血に成功したが,再出血のリスクが高いと診断し,同日単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。病理組織学的所見では虫垂遠位側に肉芽組織を認めたのみで,特発性虫垂出血と最終診断した。【結語】虫垂出血の診断には,すみやかに造影CT 検査,内視鏡検査を施行し,活動性出血の所見を捉えることが必要であると考えられた。