日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
小腸穿孔に遅発性大腸損傷を合併した交通外傷の1例
出口 善純藤田 俊広野口 岳春佐藤 孝幸瀬下 明良
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2025 年 45 巻 3 号 p. 386-389

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抄録

症例は19歳,男性。軽乗用車の助手席で対向車と正面衝突し当院救急搬送された。腹痛を訴え,造影CT検査で空腸壁の浮腫強く周囲に液体貯留を認めたが,腹腔内遊離ガスは認めなかった。受傷8時間後も腹部症状は改善なく緊急開腹術を施行した。Treitz靭帯より約20cmの空腸に穿孔を認め,空腸部分切除を行った。術後1日目(受傷後約36時間)に再び腹痛が増強し再開腹したところ,上行結腸とS状結腸の広範囲のうっ血と一部に腸管虚血および腸間膜血種を認め,右半結腸切除,S状結腸部分切除,およびdiverting ileostomyを施行した。病理結果は上行結腸,S状結腸ともに腸管うっ血が著明で,粘膜下層から固有筋層の出血と筋組織の離開を認めた。腹部鈍的外傷により腸間膜静脈損傷に伴う遅発性大腸うっ血壊死の所見であった。第26病日に独歩退院した。本症例のような腸間膜血種による複数箇所の遅発性大腸損傷は過去に報告例がないため文献的考察を加え報告する。

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