日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
回腸導管造設後の穿孔性虫垂憩室炎に対して腹腔鏡下虫垂切除術を行った1例
横山 翔平吉野 健史西崎 颯良土佐 明誠福井 彩香
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2025 年 45 巻 6 号 p. 560-563

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抄録

症例は50歳台,男性。尿道癌に対して膀胱尿道全摘+回腸導管造設後であった。受診2日前より右下腹部痛を自覚し増悪してきたため当院救急外来を受診した。右下腹部に腹膜刺激症状を認め,腹部CT検査で虫垂腫大,虫垂根部に壁外に突出する石灰化像を認めたため,急性虫垂憩室炎と診断し,緊急手術の方針とした。当院での通常のポート配置では回腸導管が手術操作の妨げになるため,ポート位置を変更することで腹腔鏡下手術を完遂できた。術後経過は良好で術後5日目に退院となった。病理組織学的には虫垂憩室の粘膜面に潰瘍と穿孔を認めた。虫垂憩室炎はまれな疾患であるが,穿孔のリスクも高く切除を積極的に検討する必要がある。また回腸導管造設後の虫垂切除術は癒着や回腸導管との位置関係により手術操作が困難であることも想定されるが,工夫を行えば安全に腹腔鏡下手術は施行可能であると考えられた。

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