2025 年 45 巻 6 号 p. 564-566
症例は57歳,女性。脳出血後の水頭症に対して脳室腹腔シャントカテーテル(ventriculoperitoneal shunt catheter:以下,VPSC)留置中であった。発熱および右下腹部痛で救急搬送となり,複雑性虫垂炎と診断した。緊急手術によりVPSCへ感染が波及する可能性を考慮し,待機的虫垂切除を行う方針とした。3週間の保存的加療により症状の改善を認め,発症から2ヵ月後に腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。VPSC留置患者の急性虫垂炎に対して,待機的手術を行うことが可能であった1例を経験したので報告する。