2025 年 45 巻 6 号 p. 577-581
上腸間膜静脈血栓症(superior mesenteric venous thrombosis:以下,SMVT)はまれな疾患であるが,腸管のうっ血や壊死をきたすことがあり,重篤な経過をたどることもある。症例は56歳,男性。腹痛を主訴に受診し,腹部造影CTで急性虫垂炎および回結腸静脈と上腸間膜静脈に血栓を認めた。SMVTを合併した急性虫垂炎と診断し,抗菌薬投与と抗凝固療法を施行した。虫垂炎の増悪や再燃なく,血栓症による腸管うっ血の所見なく経過した。腹部造影CTでSMVTの消失を確認した後に,虫垂炎の再燃とともにSMVTが再発する可能性を考慮して,待機的に腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,抗凝固療法を終了した。SMVTを合併した急性虫垂炎の治療において,SMVTによる腸管うっ血や壊死を認めなければ,抗凝固療法を行いながら,通常の急性虫垂炎と同様の治療選択が可能と考えられた。