日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
上腸間膜静脈血栓症を合併した急性虫垂炎の1例
延廣 征典, 須藤 翔, 佐藤 幸平, 堅田 朋大
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 45 巻 6 号 p. 577-581

詳細
抄録

上腸間膜静脈血栓症(superior mesenteric venous thrombosis:以下,SMVT)はまれな疾患であるが,腸管のうっ血や壊死をきたすことがあり,重篤な経過をたどることもある。症例は56歳,男性。腹痛を主訴に受診し,腹部造影CTで急性虫垂炎および回結腸静脈と上腸間膜静脈に血栓を認めた。SMVTを合併した急性虫垂炎と診断し,抗菌薬投与と抗凝固療法を施行した。虫垂炎の増悪や再燃なく,血栓症による腸管うっ血の所見なく経過した。腹部造影CTでSMVTの消失を確認した後に,虫垂炎の再燃とともにSMVTが再発する可能性を考慮して,待機的に腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,抗凝固療法を終了した。SMVTを合併した急性虫垂炎の治療において,SMVTによる腸管うっ血や壊死を認めなければ,抗凝固療法を行いながら,通常の急性虫垂炎と同様の治療選択が可能と考えられた。

著者関連情報
© 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top