2026 年 46 巻 3 号 p. 454-458
消化管穿通・穿孔の原因として異物は比較的まれである。今回,異物によるS状結腸穿通に対して,待機的な大腸内視鏡的摘出により軽快した1例を経験したので報告する。症例は70台女性。下腹部違和感,炎症反応高値を主訴に当院紹介受診。CTでS状結腸に腸管外への突出を伴う線状高吸収構造物,内腔にairを伴う膿瘍を認め,魚骨を疑う異物によるS状結腸穿通が疑われた。症状軽微であり,絶食抗菌薬治療の方針とした。入院後9日目に大腸内視鏡検査を施行し,S状結腸粘膜から貫通する鋭利な異物を確認し,鉗子にて摘出した。処置後のCTでfree airの出現や腹痛の増悪は認めなかったため,絶食抗菌薬治療を継続した。経過良好で,処置後5日目に食事を開始し,8日目に退院した。異物による大腸穿通は,全身状態が安定していれば,膿瘍径や炎症反応にかかわらず,内視鏡的摘出と保存的治療によって手術を回避できる場合がある。