教育メディア研究
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教員研修を受けた教師のタブレット端末活用プロセスとその要因
市内全校児童生徒へ1人1台のタブレット端末を一斉整備したB市を事例として
今野 貴之堀田 博史中川 一史
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 24 巻 1 号 p. 57-70

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抄録

本稿では,教員研修を受けた教師のタブレット端末の活用プロセスとその要因を明らかにすることを目的とした。事例として取り上げるのは,市内のすべての児童生徒へ1人1台のタブレット端末を一斉整備したB市である。各校でタブレット端末の活用を促す担当教師15名の1年間の振り返りと,その振り返りをもとに選定した4名のインタビューを定性的に分析した。 分析の結果,教師がタブレット端末をどのように授業で用いるようになったのか,そのプロセスと要因として,(1)教師は,タブレット端末が自身の手元にあったことや,情報教育担当や同僚教師に聞くことができる環境が切っ掛けとなり,(2)授業におけるタブレット端末の活用を継続させていった。一方で,(3)アプリの購入の手間や,情報教育の指針が不明確なことが活用を阻害していたこともわかった。以上から,教育実践への示唆として,教育の情報化に関わる指針策定,自治体と学校が協力して取り組む環境整備,タブレット端末活用のための中心人物の設置の3つが示された。

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© 2017 日本教育メディア学会
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