教育メディア研究
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小学校算数科におけるメタ認知方略を組み込んだ遠隔授業の検討
古本 温久黒上 晴夫
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2021 年 27 巻 2 号 p. 1-16

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抄録
本研究の目的は,算数の遠隔授業において,子どものメタ認知力を育成し評価することができるかどうかを明らかにすることである。遠隔授業は,同時双方向型で行われ,毎時の授業には,メタ認知方略を使う場面が設定された。子どもは自宅から参加し,算数の問題解決に挑んだ。メタ認知方略によって生み出された全ての子どもの思い浮かびを分析した結果,メタ認知方略に含まれる「点検」および「気づき」と問題の正誤に,有意な関連がみられた。また,清水(1995)の質問紙を用いてプレ・ポスト調査を行い,メタ認知能力の変化を捉えることを試みた。結果,「問題把握」に関わるメタ認知の得点が,有意に増加した。子どもの授業についての感想も,これらの結果を裏付けた。これらのことから,本研究で焦点化したメタ認知方略によって,メタ認知能力を高める可能性があることが示唆され,またそれらはメタ認知を評価したり,メタ認知力を育成したりすることに活用できる可能性があることが示唆された。
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© 2021 日本教育メディア学会
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