抄録
本研究では,教員の教育改善を目指すティーチング・ポートフォリオ・ワークショップにおいて,メンター教員が専門や所属の異なる教員同士のメンタリングをどのように捉えているのか,また,その捉え方はメンター経験の有無により異なるかを明らかにすることを試みた。新人メンターと経験者の発言記録をテキストマイニングにより分析し,メンタリング体験に関わる頻出語(41語)を抽出した。さらに,クラスタ分析から,5つのカテゴリ(「メンタリング過程」「活動リフレクション」「他者との比較」「メンター利点」「ティーチング・ポートフォリオ意義」)を見い出して,新人と経験者の頻出語の出現度数を比較した。その結果,(1)新人は,経験者よりもメンタリング体験やティーチング・ポートフォリオの意義について多く言及していた。(2)経験者は,他のメンターや事例と比較しながら,メンタリングの方法やメンティーの成長を振り返る発言が多かった。(3)メンターとして活動するメリットは,新人と経験者との発言に有意な差が見られなかった。