本研究の目的は,Ritchhartが提案する「思考する文化をつくる8視点」が,思考力育成を目指した実践に取り組む日本の熟達教師の学級において,講じられている手立てと対応づけることができるのか検討することである。対応を検討することにより,「思考する文化をつくる8視点」の日本の学校教育への適用可能性を考察する。分析の結果,8視点すべてについて対応づけられる手立てが確認され,日本の学校教育においても,「思考する文化をつくる8視点」が適用できることの一端が見られた。また,分析対象とした学級では,8視点に対応しない手立てが確認された。その結果,日本の学校教育に取り入れるためには,「学習に対するメタ認知の促進」という新たな視点を追加する必要性が示唆された。