本研究の目的は，同時双方向型のオンライン授業において，学習者の授業参加に対する意欲に影響を与える要因を明らかにすることである。調査では，73名の大学生から得た記述を基に質問紙を作成し，これを186名の大学生に実施した。探索的因子分析の結果，学習者の授業参加への意欲を向上させる要因として，「気楽さ」，「他者と共に学ぶ感覚」，「理解のしやすさ」，「通学・移動が不要なこと」，「発言・質問のしやすさ」の5因子が，また，それを低下させる要因として，「技術的なトラブル」，「コミュニケーションのとりにくさ」，「充実感・緊張感のなさ」，「課題の多さ」，「疲労感」の5因子が抽出された。これらの結果は，同時双方向型のオンライン授業における学習者の意欲が，この授業方式ならではの様々な要因と深く関わっていることを示しており，今後の同方式のオンライン授業において，教員はこうした要因に注意を払う必要があることを示唆している。
