抄録
本研究は,(1)反転授業の導入によって,知識習得のための時間と,質問活動や説明活動の時間を十分に確保した上で,批判的思考態度育成を促すことが可能となっていたのか(2)設計した反転授業が与える批判的思考態度育成への効果について,学力高群と低群とで違いがあったのかの2点を明らかにすることを目的とした。評価の結果,反転授業の導入により,知識習得のための時間と,質問活動や説明活動の時間を十分に確保しながら,批判的思考態度育成を促す授業デザインが可能になることが明らかとなった。さらに,学力高群と低群に分けて詳細に評価した結果,「論理的思考への自覚」「客観性」は,両群で向上するが,「探究心」は,学力低群でのみ向上し,学力高群では向上しないことが明らかとなった。