抄録
本研究の目的は,ICTを活用した日本語学習者のメディア情報リテラシーを測定するための尺度(以下:尺度)を開発することであった。そのため,中国の大学に所属する学生のうち日本語を学習する者を対象にグループインタビューと質問紙調査を実施した。グループインタビューでは,14名の日本語学習者を対象に尺度の項目候補となる記述を収集し,それをもとに32の尺度の項目候補を作成した。次に,これら32の尺度の項目候補を用いた質問紙調査を行い,384名の日本語学習者から有効回答を得た。これらの回答について探索的因子分析を行った結果,尺度は「主体的な活用」「効果の認識」「積極的な交流」「批判的思考」という4因子からなる25項目で構成されていることが示された。また,内的一貫性の観点から一定の信頼性が確認された。さらに,妥当性をMIL尺度の因子構造ならびに先行研究による仮説を用いて検討した結果,因子的妥当性があること,構成概念的妥当性が部分的にあることが確認された。