抄録
これは、筆者が東京都立大学で非常勤講師として担当している「視聴覚教育」(前期集中)において実施した、受講生の事前レポートについての報告である。周知のとおり「視聴覚教育」は学芸員資格取得のための必修科目だが、その目的で受講しているにもかかわらず、博物館を見学した経験に乏しい学生も少なくない。まして、視聴覚的な視点から見学した経験は「博物館実習」でも履習していないかぎり、ゼロに等しい。そこで今回の受講生には、あらかじめ博物館を「視聴覚の立場で」見学し、事前にレポートを提出するよう義務づけた。といっても、いったいどのような課題を出せば「視聴覚の立場で」博物館を見てくれるだろうか。以下、レポート課題設定までの経緯、提出されたレポートの内容、講義終了後の受講生の感想、などを中心に今回の試みを振り返ってみよう。