抄録
近年,中国において,「双師授業」という新しい授業形態が現れた。「双師授業」は授業の主担当教師と遠隔地の教室でのサポート教師が協働して授業前の準備,授業,授業後の評価を行い,質の高い授業が実現されている。これまで,中国の初等中等教育においては,主に地方の教育レベルを向上するために「双師授業」が行われてきたが,高等教育においては,「双師授業」はまだ行われていない。しかし,初等中等教育における「双師授業」の成果を活かし,高等教育においても「双師授業」に取り組むことは学術的には提案されてきた。本研究では,田・野中(2021b)が提案した「国際双師授業」のデザインをもとに,高等教育における日本語教育の「国際双師授業」を試行した。その実践を記述し,日中教員間の遠隔協働に着目して,授業前,授業,授業後に分けて,その有効性や課題を明らかにすることを試みた。