抄録
本研究では,家庭でのICT利用が子どものウェルビーイングに及ぼす影響の実証分析を行う。分析に用いるのは中学2年生の2016年,2019年,2023年の3時点,合計470人分のデータである。中学生のICT利用時間は,2023年で大きく増加していた。3時点とも平日2時間以上のICT利用,11時台後半以降や不規則な就寝の場合にウェルビーイングは低かった。多母集団同時分析によるパス解析の結果,2023年ではICT利用時間の長さが直接にウェルビーイングへ負の影響を及ぼしていた。ICTの利用時間や就寝時刻をコントロールする要因は,適切な利用を子ども自身が心がけることであった。家族との情緒的な関係はICT利用時間とは直接の関連がみられなかったものの,子ども自身の心がけを高める影響が示された。子どもがICTの長時間利用による弊害から自身を守るための心がけを,大人との温かな関係の中で育む取組が求められる。