抄録
認知に及ぼす映像の効果については、これまで感性的認識、情動作用、鏡効果など様々な指摘がなされてきたが、今一歩より細密な解明が待たれているように思われる。授業感想文に表われた学習者の認知的変容の具体を子細に見つめ分析することを通して、"映像ならではの効果"と思われるものを抽出し、まずその内の「強力な認知的不協和を喚起する力」について、レーザー光が鉄板を切っていくシーンをとりあげ、その映像刺激が認知的動態にどのように効いているのかを、言語刺激だけで説明した場合との比較において測定し考察した。それによって、この効果が映像ならではの力と見なし得ることを明らかにした。