抄録
学校放送番組の「ズームジャパン」は,社会的な題材を扱いながら,子どもたちに身近なキャラクターを通して社会的事象を分かりやすく提示するメディアであり,社会科における学習の導入や理解を深める手段として有効であると考えられる。そこで,本研究では,学校放送番組の「ズームジャパン」を対象に,場面構成と登場キャラクターの発話を分析し,学習者が社会的な見方・考え方を働かせるための構成要素の特徴を明らかにすることを目的とした。その結果,全24本の動画は,毎回一定の探究の過程を踏みながら進行し,登場キャラクターの発話数に変化はないものの,学習の主体であるミウの社会的な見方・考え方に関する発話や,ミウに伴走するショーゴの発話といった役割が確認された。また,学習者に対する単なる情報提供のための動画ではなく,問いを持つまでの流れや,自らの生活に結びつけて単元が終わる構成など,学び方を示す動画であることが分かった。