抄録
本研究は,英語で記述された文章に対する中学生の批判的思考と英語力の関連性を明らかにすることを目的に,虚構記事を題材とした英文を用いて大学生を対象に2回の予備調査を実施した。調査1では,大学生2,3年生を対象に実施し,調査2では大学1,2年生を対象とし,調査1の結果を踏まえて調査に使用した英文の難易度を下げて実施した。その結果,調査1では,調査問題の平均点は30点中21点であった。自由記述に関しては,テスト環境や設問形式に関する記述と,英語読解の難しさ・課題に関する記述が全体の50%を占めていた。また,調査2では英文の難易度を下げたことで調査問題の平均点が26点と調査1よりも高くなった。自由記述に関しては,英文に関する記述が全体の74%を占めた。一方,批判的思考を発揮した回答者は,調査1では1名で,調査2では0名であった。