抄録
本研究は,失敗と再設計のプロセスを授業構造に組み込んだ生成AI動画制作ゲームの教育的効果を検証することを目的とした。大学の映像系ゼミに所属する学生17名を対象に,動画生成AIを用いた12秒CM制作ゲームを実践した。学生は4~5人で1チームとなり,まず個別にプロンプトを作成して1回目の動画生成を行い,続いて生成結果を基にチーム内で話し合い,再設計したプロンプトによる2回目の動画生成に取り組んだ。事前・事後アンケートの分析では,「生成AI動画制作は楽しいと思う」などの項目において有意な得点上昇が確認された。また,自由記述およびプロンプトの質的分析から,1回目では断片的な場面記述が中心であったプロンプトが,2回目では物語性を備えたプロンプトへと変化していることが確認された。一方,事前・事後テストにおける基礎知識の得点差は有意ではなく,本実践は,知識の獲得よりも,態度および設計的思考の側面に主な教育的効果を有していたことが示唆された。